葉酸は、水溶性のビタミンです。
体内で作ることはできず、食べ物などから摂取する必要があります。
そんな葉酸は、妊娠中にもっとも重要だというイメージがあります。
それは、葉酸が「胎児の先天性の障害リスクを軽減する」ことができるからです。
葉酸を摂ることで、先天性の障害リスクは70%も軽減することができるんですよ。
健康な赤ちゃんを産むために、葉酸は欠かせない栄養素だと言えるでしょう。
しかし、葉酸は妊娠中の人だけに必要なものではありません。
妊娠していない一般の人にも、重要な働きをしているのです。
葉酸は小腸で吸収され、一時的に肝臓に保管されます。
そして、必要な組織に運ばれていくわけです。
血液と一緒に運ばれていくんですよ。
さて、そんな葉酸は、過剰摂取や欠乏症など多くても少なくてもダメだと言われています。
「私は葉酸は足りているのかな?」と、不安に感じたことのある人もいるのではないでしょうか。
ここでは、医療機関で行う「葉酸測定」の方法やその意義について、ご紹介していきたいと思います。
葉酸の測定は医療従事者のみができる
葉酸を測定する方法はいくつかあります。
インターネットで測定キットを検索するといろいろなものがヒットするのですが、個人で使えるものではありません。
医療従事者のみが取り扱えるものとなります。
葉酸の測定方法は「電気化学発光免疫測定法(=ECLIA法)」を用います。
電気化学発光免疫測定法は、血液内の葉酸量を調べるために用いる測定法です。
一方、食品などに含まれる葉酸量を調べるためには、「微生物定量法」が用いられることが多いです。
ここでは、微生物定量法について詳しく説明しましょう。
微生物定量法は、文字通り「微生物」を用いて調べたい栄養素の含有量を調べるというもの。
葉酸だけでなく、ビタミン全般に微生物定量法は用いられます。
ビタミンを必須の栄養素として要求する微生物の、「栄養要求特性」を利用してビタミン含有量を測定します。
微生物の増殖はビタミン含有量に比例するため、微生物がどのくらいいるのかを測ることで葉酸の量を測定することができます。
ただ、微生物測定法は、葉酸の場合は測定するまでに19時間くらいかかります。
時間がかかること、そして微生物の活性化具合によって測定値が変化してしまうことから、微生物の活性化具合を一定にしておく必要があります。
葉酸の必要性が高まり、葉酸サプリメントなどもたくさん販売されている現代において、「本当に葉酸が摂れるのか」を知るためにも、葉酸含有量を測定することは大切なことだといえるでしょう。
血液内の葉酸値の測定意義とは
体調が悪くて医療機関を受診したとき、血液検査をするのは良くある話です。
しかし、初めから葉酸値を測定することはほとんどありません。
葉酸値を測定する意義とは、どんなものなのでしょうか。
血液内の葉酸を調べるには、先ほどお話しした電気化学発光免疫測定法が用いられます。
血清または血漿にどのくらい葉酸があるのかを知ることができます。
これにより、「葉酸過敏症」「葉酸欠乏症」を患っているかが分かるというわけです。
葉酸は水溶性ビタミンなので、サプリメントや薬を服用していない人の場合、葉酸過敏症(過剰摂取)になることはほぼありません。
葉酸は体内に溜めておくことはできませんので、大量に摂取しても不要な分は尿として排出されてしまうからです。
しかしサプリメントや薬で葉酸を摂っている人は、1日あたりの容量を守っていないと過剰摂取となり、葉酸過敏症になる恐れがあります。
吐き気や食欲不振などの他、呼吸障害などの症状が出ることがあります。
葉酸過敏症よりも、葉酸欠乏症のほうが危険です。
葉酸が欠乏すると、まず始めに起こるのは貧血の症状です。
葉酸には赤血球を作る働きがあるのですが、その葉酸が不足するということは、すなわち赤血球が作られなくなるということです。
赤血球にはヘモグロビンがあり、酸素や栄養を運ぶ役割があります。
これらがないため、酸欠状態となり、動悸や息切れ、疲れやすいなどが現れます。
症状だけでは鉄欠乏性貧血と変わらないのですが、葉酸欠乏の場合は、「巨赤芽球」が現れます。
これは、いわば赤血球のなりそこないです。
赤血球を作る際のDNA合成がうまくいかず、ちゃんとした赤血球ができなかったのです。
そのため赤血球としての役割を果たすことはできず、血液内に赤血球が減少し、代わりに巨大化した不完全な赤血球ができてしまいます。
これは葉酸欠乏によるものなので、しっかりと葉酸を補わなければ症状が改善することはありません。
このような病気を発見するために、葉酸の測定は行われるのです。
葉酸欠乏にならないために
普通にバランスの良い食事をしていれば、葉酸欠乏になることはほぼありません。
しかし、外食の多い人や普段偏った食事をしている自覚のある人は、やはり葉酸欠乏になっている恐れがあります。
食生活を改善すると同時に、必要ならばサプリメントから葉酸を補っていきましょう。