葉酸という栄養素の名前は、このサイトを見ているなら、ある程度知っていると思います。葉酸はビタミンB群のひとつなので、水溶性ビタミンになります。
水溶性ビタミンというのは、水に溶けやすく熱に弱いという特徴があります。
葉酸という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような栄養素なのか、どんな働きをするのかまでは分からないという人もいるでしょう。
ここでは、そんな妊婦に欠かせない栄養素でもある葉酸について、ちょっと科学的に詳しく見ていきたいと思います。
葉酸の化学式
栄養素にはすべて「化学式」というのがあります。たとえばカルシウムはCaと表しますし、鉄分はFeと表します。
カルシウムや鉄分などと比べると、かなりややこしく覚えるのが大変な感じですね。
葉酸は、ビタミンMやビタミンB9、プテロイルグルタミン酸などと呼ばれることもあります。カルシウムや鉄分ほど有名ではなく、知らない人もいる葉酸ですが、葉酸はDNAの生成や合成に欠かせない役割を持っているのです。
プテリジン、パラアミノ安息香酸、グルタミン酸が結合した構造担っています。葉酸は1941年に、乳酸菌の増殖因子としてホウレン草の葉から発見されました。
ホウレン草の「葉」から見つかったので、「葉酸」と呼ばれるようになったのです。葉酸は、緑黄色野菜や果物などに多く含まれることが分かっています。
葉酸の働きで重要な「DNAの生成や合成」
先ほど少しお話ししましたが、葉酸にはどのような働きがあるのでしょうか。葉酸の働きの中でもっとも重要だとされているのが、「DNAの生成や合成」です。
なにやら難しい話ですね。細胞分裂をするためには、DNAが欠かせません。私たちの皮膚や髪の毛などの細胞は、日々分裂して生まれ変わっているのです。
健康を保つためにも、細胞分裂は欠かせません。つまり、私たちが健康に生きていくためには、葉酸が必要不可欠だということなのです。
このDNAの合成や細胞分裂に関しては、おなかの中の赤ちゃんにも関係しています。赤ちゃんがおなかのなかで育つためには、細胞分裂を繰り返す必要があります。
受精卵からヒトの形になるまでおなかの中で成長していくわけですから、それこそ何万回と細胞分裂を繰り返しているのです。
妊娠中に葉酸が多く必要だと言われるのは、このためなんですね。
葉酸が足りないと細胞分裂がしっかりと行われなくなることがあり、その結果として神経閉鎖障害などの先天性の障害を負うリスクが高まってしまうのです。
葉酸をしっかりと摂っていれば、このような先天性の障害のリスクを減らすことができます。また、葉酸には血中のホモシステインの値を下げる働きもあります。
ホモシステイン値が高くなると、動脈硬化になるリスクや認知症になるリスクが高まったり、妊娠中なら流産のリスクが高まってしまいます。
このことから、葉酸は「健康に欠かせない」と言われているわけです。
葉酸の栄養所要量
成人男女の葉酸摂取量の平均は、およそ250μgです。推奨量は240μgですから、平均としてはきちんと葉酸は摂れていると見ていいてしょう。
しかし、先ほどの推奨量はあくまでも「成人男女」の数値です。妊娠中はこの2倍の量の葉酸が必要だとされています。
ちなみに葉酸の上限は1000μgです。葉酸は水溶性のビタミンなので、大量に摂取しても不要な分は尿として排出されます。
食品から摂る葉酸は吸収率も低いため、普通に食事をしている分には「葉酸の過剰摂取」になることはほぼないとみていいでしょう。
しかし、妊娠中などにサプリメントから葉酸を摂っているという人は、過剰摂取には気を付けてください。
サプリメントの葉酸はモノグルタミン酸型葉酸といって、体内で吸収されやすい形にすでに加工されています。
妊娠向けの葉酸サプリメントはたいていが1日分400μgに設定されていますから、1日分の容量を守っていれば過剰摂取になることはありません。
モノグルタミン酸型葉酸の「化学合成」と「天然由来」
葉酸サプリメントにも種類がありますが、同じモノグルタミン酸型葉酸でも「化学合成」のものと「天然由来」のものとがあります。
石油など食品以外のものから作られた葉酸は、当然身体に負担をかけてしまいます。
これは、あなた自身だけでなく妊娠中ならおなかの赤ちゃんにも悪影響を及ぼしますので注意が必要です。
食品だけで妊娠中に必要な葉酸量をすべて補うのは難しいので、サプリメントを飲むことはいいことです。
ただ、サプリメントの選び方には気を付けましょうという話です。
まとめ
天然由来の葉酸サプリメントにし、食品由来から抽出されたの葉酸サプリであることはもちろん、栄養価を損なわない製造方法、添加物が少ないものを選ぶようにしましょう。
葉酸は単品では働きを十分に活かすことはできないので、葉酸を活性化してくれる栄養素を一緒に摂ることが大切です。
サプリメントから葉酸を摂るのなら、ビタミンB12やビタミンCが配合されたものを選ぶといいと思います。