ここでは、葉酸と補酵素の関係について調べていきたいと思います。
葉酸はアミノ酸や核酸の代謝に関わる補酵素である
葉酸は、ビタミンB群の一種です。ビタミンB9などと呼ばれることもあります。ビタミンの多くは、体内での酵素反応における化学基の授受に携わっています。
このような、化学基の授受を行う低分子の有機化合物のことを補酵素と呼ぶのですが、補酵素の多くはビタミンなんですよ。
補酵素がなければ、体内で必要な働きを行うことはできません。そのため、私たちの生活にビタミンは必要不可欠だと言われているのでしょう。
葉酸は、体内でメチル基やメチレン基などの炭素を持つ化合物から炭素基を受け取り、別の物質へと炭素基を移動させることで生理反応と関わっています。
葉酸がなければ「炭素基を受け取って別のものへと渡す」という一連の流れが行われなくなるわけです。これでは、当然私たちが健康に毎日を過ごすことなどできなくなるでしょう。この生理反応の一連の流れは、アミノ酸やDNAを作るためには欠かせないものです。
葉酸はアミノ酸やDNAを生成、代謝する際の「1炭素基ドナー」として働いています。他の物質の生合成によって合成されたホルムアルデヒドから1炭素を受け取り、アミノ酸や核酸の代謝に関わる補酵素になるわけですね。
補酵素として働く葉酸には
- デヒドロ葉酸
- テトラヒドロ葉酸
などがあります。これらは、どれも摂取した「ポリグルタミン酸型葉酸」や「モノグルタミン酸型葉酸」が体内に吸収される過程で変わった形です。
葉酸がなければDNAを作ることもできなくなりますから、細胞を作ることもできなくなってしまいます。私たちの体は日々細胞分裂を繰り返し、健康な新しいものに作り替えていっているんですよ。
しかし、この細胞分裂は、DNAがなくては行うことができません。DNAのないものやDNAが正常に作られなかった細胞は、それ以上成長することができないわけです。このことから、葉酸はすべての人に必要なものだといえるでしょう。
葉酸の補酵素としての働きを阻害するとどうなる？
では、葉酸の「補酵素としての働き」を阻害するとどうなるのでしょうか。葉酸の補酵素としての働きを阻害してしまったら、先ほどお話ししたように
- DNAが作れなくなる
- アミノ酸の代謝ができなくなる
などの不調が生じることになります。実は、この葉酸の働きを阻害することである一定の効果を発揮している薬があります。
それは、「抗がん剤」
ガン細胞は、日々細胞分裂を繰り返して増殖していきます。そのスピードは、ふつうの正常な細胞の分裂スピードなど非ではありません。ガン細胞を放っておいたら、あっという間に身体中の細胞はガン細胞に犯されてしまうでしょう。
しかし、ガン細胞にも1つだけ欠点があります。それは、DNAがないと細胞分裂をすることができない、ということ。そのため、「葉酸のDNAを合成する」という補酵素としての働きを阻害してしまえば、ガン細胞は増えることができないのです。
葉酸の代謝経路を経つ働きのある抗がん剤には、メトトレキサートやアリムタなどがあります。この薬は、葉酸の補酵素としての働きを阻害することで、ガン細胞の増殖を防ぐことが目的です。
しかし、これらの薬の効果というのは正常な、健康な細胞のDNA合成までを阻害してしまうというデメリットも。
そのため、メトトレキサートやアリムタを投与したあとは葉酸を服用することが一般的です。葉酸が「妊娠中に必要なもの」と言われているのは、「DNAを合成して細胞分裂を促す」という働きが葉酸にはあるからです。
赤ちゃんの脳や脊髄の基礎となる神経管を作る際に葉酸が足りていないと、DNAが正常に合成されずに障害を患ってしまうリスクが高まってしまうんですよ。そのため、妊活中や妊娠中には葉酸が必要不可欠だと言われているのです。
まとめ
葉酸は補酵素としての働きますし、葉酸が補酵素として働くことができないと、DNAを作ることも細胞を作ることもできなくなります。
葉酸は食べ物にも含まれていますが、その吸収率は決して高くはありません。もし食事が偏っていたり、好き嫌いがある、仕事柄外食やお弁当が多いというような人は、知らず知らずのうちに葉酸が不足している可能性があります。
そんなときは、無理をせずにサプリメントを利用してみてはいかがでしょうか。葉酸が足りなくなってからでは遅いので、今から意識して葉酸を摂取していきましょう。
