葉酸は、妊娠を計画している人や、妊娠中の人には特に欠かせない栄養素です。
というのも、葉酸には赤ちゃんの先天性の異常(神経管閉鎖障害など)の発症リスクを軽減する効果があるからです。
親なら誰でも、健康な赤ちゃんを産みたいと思うもの。
そのためにできることは、何でもしますよね。
先天性の異常(神経管閉鎖障害)は遺伝によって発症することもあるので、個人の努力で100%防げるものではありません。
しかし、妊娠前から葉酸をしっかりと摂ることで、そのリスクは70%も軽減できることが、医学的にも証明されているのです。
神経管閉鎖障害は、神経管の上部と下部のどちらが塞がれるのかによって、病名が変わります。
上部が塞がれた場合を「無脳症」、下部が塞がれた場合を「二分脊椎症」といいます。
無脳症の子どもは、脳がないわけですから、当然生きることはできません。
流産、または死産になります。
二分脊椎症の子どもは生きることは可能ですが、主に下半身に障害を持つこととなります。
これらの先天性の異常は、神経管が作られる際にDNA合成がうまくいかず、細胞分裂が失敗することが原因の1つであると言われています。
遺伝が原因ではない場合は、ほぼこれが原因です。
DNA合成や細胞分裂が失敗してしまうのは、これらを促す葉酸が足りないからです。
神経管が作られるのは妊娠4週目から8週目くらいまでの間です。
そのため、妊娠前から葉酸を摂ることが勧められているのです。
染色体異常(ダウン症)は防げるのか
染色体異常というのは、主にダウン症などのことです。
ダウン症は、23対46本ある染色体のうちの21番目が、3本あることが原因です。
ヒトの細胞は、父親から染色体を23本、母親から23本もらってそれぞれが対になっています。
ここ数年で、ダウン症を患っている子どもの数は一気に増えました。
それはなぜかというと、ダウン症発症リスク上昇の1つに「高齢出産」があります。
高齢出産というのは35歳以上での出産のことをいいます。
年齢とともに卵子の質というのは衰えていき、若い人のものと比べるとその差は一目瞭然なのだそうです。
質の悪い卵子は栄養が足りず、きちんと染色体を分けることができないことがあるため、染色体異常(ダウン症)の確率が高まってしまうのです。
特に40歳以上になるとダウン症発症リスクはさらに高まり、なんと100人に1人の割合でダウン症児が産まれてしまうそうです。
このように書くと、染色体異常の原因がすべて女性にあるように思われがちですが、決してそのようなことはありません。
男性は女性よりも長い間子作りができますが、年齢とともに精子の質は衰えていくものです。
染色体異常を持った精子も、年齢とともに増えていくんですよ。
そのため、夫婦ともに高齢である場合はなおさら、ダウン症のリスクは高まると見ていいと思います。
葉酸で先天性の異常リスクが軽減できるというのは冒頭でもお話ししたように医学的にも認められており、今や常識ともいえる話です。
では、染色体異常は予防できないのでしょうか。
少し前まで、「葉酸で先天性の異常は予防できるが、染色体異常は防げない」と言われてきました。
しかし、2003年4月に、世界でも有名な医学誌「ランセット」に、葉酸でダウン症を防ぐことができるという内容の記事が掲載されたのです。
「ランセット」によりますと、今まで先天性の異常と染色体異常は無関係だと言われてきましたが、実験により両者には直接的な関係があることが分かったというのです。
なんと、先天性の障害児を持つ家族は、染色体異常も起こりやすいという結果になったのです。
両者に直接的な関係があるということは、先天性の障害を防ぐ葉酸で、染色体異常も防ぐ効果がある、ということです。
ただ、染色体異常に関しては、先天性の異常のように高い効果が確立されているわけでありません。
先天性の異常は葉酸を摂ることで「70%軽減できる」とされていますが、染色体の異常については具体的な数字は発表されていません。
それについてはこれから、といったところなのでしょうか。
どちらにせよ、葉酸を摂ることで染色体の異常もリスクを軽減することができる、ということです。
ダウン症を防ぐには妊娠する前に葉酸を摂る必要がある
染色体の異常リスクを減らすという目的だけでみるのなら、葉酸を「妊娠がわかってから」摂るのでは遅いです。
染色体というのは、受精卵になった時点ですでに確定しているからです。
ですから、染色体異常を防ぐためには、妊娠する前に夫婦それぞれが葉酸を摂る必要がある、ということ。
卵子と精子の段階で十分に葉酸を摂り、それぞれの質を高めていきましょう。
葉酸は細胞分裂を促す働きがありますから、卵子や精子の老化を食い止める効果も期待できます。
確実に葉酸を摂るためには、やはりサプリメントから摂取することをおすすめします。
食品の葉酸は吸収率が低いため、意外と必要量に満たないこともあるのです。
妊活中や妊娠中に必要な量は、サプリメントから400μgと言われています。
妊活サプリメントや妊婦向けサプリメントで、しっかりと葉酸を補い、染色体異常のリスクを少しでも減らしていきましょう。