葉酸はビタミンB群の一種です。
ビタミンは野菜や果物に含まれており、葉酸も例外ではありません。
葉酸は食べ物から摂ることができるのです。
さて、そんな食べ物に含まれる葉酸は、体内で一度「遊離型葉酸」にならなければなりません。遊離型葉酸とは、一体何なのでしょうか。
葉酸が遊離するのは吸収するために必要不可欠なこと
食べ物に含まれる葉酸は、ポリグルタミン酸型の葉酸です。ポリグルタミン酸型葉酸は、葉酸に糖やタンパク質などが結合している状態です。
食べ物の葉酸は、普通このように糖やタンパク質と結合した状態で存在しています。わたしたちは、糖やタンパク質と結合したままの葉酸では体内で使うことができません。調理や加工、または胃酸によって、ポリグルタミン酸型葉酸は糖やタンパク質がはずれて遊離します。
この状態が「遊離型葉酸」というわけです。
ポリグルタミン酸型葉酸は、まず体内で遊離型葉酸になります。糖やタンパク質がはずれて遊離したポリグルタミン酸型葉酸は、小腸の酵素によってモノグルタミン酸型葉酸へと分解されます。
こうして初めて、ポリグルタミン酸型葉酸は小腸に吸収されるようになるのです。
つまり、ポリグルタミン酸型葉酸が遊離型葉酸になるのは、葉酸を吸収し、体内で有効利用させるためには必要不可欠なことである、ということです。
いちいち遊離するのなら、初めから遊離型葉酸として存在していればいいのに、と思うことでしょう。
それができれば一番いいのでしょうが、残念ながら食べ物に含まれる葉酸はポリグルタミン酸型葉酸、糖やタンパク質と結合した状態でなければ存在することができません。
ポリグルタミン酸型葉酸の吸収率が低い理由とは?
食べ物に含まれる葉酸、すなわちポリグルタミン酸型葉酸は、小腸から吸収されるまでに様々な過程を経ていかなければなりません。
遊離型葉酸→モノグルタミン酸型葉酸と分解されて、初めて吸収することができるのです。
様々な形に分解されるわけですから、当然吸収されるときにはその量は少なくなっています。
食べ物に含まれる葉酸の吸収率が低いと言われているのは、このためなのです。
もともと葉酸は水溶性のビタミンであるため、調理の過程で半分ほどが失われてしまいます。
その上、さらに体内でも失われていきます。
結論からいいますと、食品の葉酸含有量のうち、体内に吸収されるのはおよそ4分の1ほどにまで減ってしまいます。
葉酸を効率良く体内に吸収させるには、初めから糖やタンパク質とは遊離している「モノグルタミン酸型葉酸」を使用しているサプリメントを摂取することをおすすめします。
モノグルタミン酸型葉酸なら、体内で遊離型葉酸になる必要はありません。
そのため含有量のほぼすべてを吸収することができますよ。
妊娠中の人や妊娠を計画している人などは、一般の人よりもさらに多くの葉酸が必要です。
それは、主に葉酸に「細胞分裂を促進する」働きと「核酸を合成する」働きがあるからです。
おなかの中の赤ちゃんは健康に成長していくために、何万回という数の細胞分裂を繰り返しています。
その細胞分裂を正常に行うための栄養素が葉酸です。
葉酸が足りないと細胞分裂や核酸の合成がうまく行われず、赤ちゃんが先天性の障害を患う確率が高まってしまうのです。
核酸というのはDNAやRNAのことで、主に遺伝情報の保持や遺伝情報を伝える役割があります。
細胞分裂には欠かせないものですね。
葉酸にはこのような働きがあるため、妊娠中の人や妊娠を計画している人はより多くの葉酸を摂取することが推奨されているのです。
厚生労働省も、妊娠中は「モノグルタミン酸型葉酸」を摂取することを勧めているんですよ。
妊娠中はモノグルタミン酸型葉酸を摂取しよう
ポリグルタミン酸型葉酸はどうしても吸収率の低さから、妊娠中に必要量を確実に補うことは難しいです。
1日や2日ならできても、出産するまで毎日というのはなかなか大変でしょう。
それこそ食事がストレスになってしまいます。
妊娠中はストレスを溜めないことが第一ですから、無理をせずにサプリメントからモノグルタミン酸型葉酸を摂取しましょう。
妊娠中にもっとも葉酸が必要とされている時期は「妊娠初期」ですが、中期以降も葉酸は必要です。
先天性の障害を防ぐという目的ではなく、中期以降は赤ちゃんに栄養を届けるという目的に変わります。
葉酸は赤血球を作り、血液を増やす働きがあります。
酸素や栄養は血液を通して届けられますから、血液を増やすというのはとても大切なことです。
妊娠中は確実に葉酸を補うために、サプリメントの摂取を検討してみてください。
まとめ
遊離型葉酸について紹介してきました。
遊離型葉酸とは
- 食品に含まれるポリグルタミン酸型葉酸の、糖やタンパク質がはずれた状態
- 体内で吸収するために欠かせないもの
であるということが分かりました。
ポリグルタミン酸型葉酸が体内に吸収されるためには、いくつかの過程が必要なのです。
体内に効率良く吸収させたいのなら、もともと糖やタンパク質と遊離している「モノグルタミン酸型葉酸」の摂取が望ましいということです。