みなさんはたとえば薬を飲むとき、他の薬との飲み合わせなどを気にすることがあると思います。
飲み合わせによって、薬の効果が弱まったり、または過剰に出てしまうのも心配です。
このような「飲み合わせ」は、一般的には「相互作用」といいます。
そして、相互作用は薬だけにあるものではありません。
栄養素やサプリメントに関しても、十分に考えられることなのです。
ここでは、ビタミンB群のひとつ「葉酸」について、その相互作用を見てみたいと思います。
相互作用とは?
相互作用というのは、お互いに働きかけて、互いに影響を及ぼすこと、をいいます。
良いことも悪いことも、すべて相互作用というのです。
先ほどの薬の例なら、飲み合わせによって効果が弱まることも相互作用であり、逆に効果が高まることも相互作用なわけです。
葉酸はDNAを合成することから、成長や細胞分裂に欠かせない栄養素です。
タンパク質を作るためにも必要不可欠です。
葉酸がないと細胞分裂がうまく行えなくなりますから、細胞の修復などもできなくなります。
葉酸は胎児の成長にも関わってきます。
胎児の先天性の異常や奇形を防ぐために、妊娠前から妊娠初期にかけては葉酸を摂取することが勧められていますね。
そんな葉酸の相互作用について、「良いもの」と「悪いもの」をそれぞれご紹介していきましょう。
葉酸の良い相互作用
葉酸だけに限ってではないのですが、ビタミンというのは単体ではあまり働くことができません。
体内で働けなければ、どんなに摂取しても意味はありません。
葉酸も同じで、葉酸だけを摂取してもあまり意味はないのです。
そこで、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCの登場です。
葉酸は、この3つのビタミンとの相互作用によって体内で十分な活動を行えるようになるのです。
そのため、葉酸サプリメントの多くはビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCが一緒に配合されているのです。
葉酸だけのサプリメントだと、正直あまりおすすめはできません。
サプリメントだけに限らず、食事をするときも同じです。
葉酸を多く含むものばかりを食べるのではなく、同時にビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCを含むものを食べましょう。
良い相互作用が働きます。
葉酸の悪い相互作用
では逆に、葉酸にとって悪い相互作用にはどのようなものがあるのでしょうか。
悪い相互作用というのは、主に「葉酸の働きを弱める」ことや、「葉酸の吸収率を低下させる」ことをいいます。
詳しく見ていきましょう。
アルコール、タバコによる相互作用
まず1つめは、アルコールとタバコです。
タバコは「百害あって一利なし」と言われるくらいですから、健康に悪影響であることはみなさんもご存じかと思います。
タバコは血行不良を招きますし、体内の活性酵素を増やしてしまいます。
アルコールも、少量ならば問題はないのですが、毎晩酔いを感じるほど飲むのはやめましょう。
体内に入ったアルコールは、肝臓で分解されます。
つまり、アルコールを飲むと、肝臓はアルコールの分解につきっきりになるのです。
本来葉酸は小腸から吸収され、一時的に肝臓に保管されています。
そこから必要な組織に運ばれていくわけですが、肝臓がアルコールの分解をしている間は、保管することができません。
そのため、アルコールを大量に飲むと葉酸の吸収が阻害されてしまうのです。
せっかく摂っても吸収されずに尿になってしまっては意味がありません。
アルコールはほどほどにしておきましょう。
医薬品による相互作用
医薬品のなかには、葉酸を分解する酵素が含まれているものもあります。
このような薬を飲んでいると、当然葉酸の働きは阻害されてしまいますよね。
- 抗けいれん薬
- 抗ガン剤
- インドメタシン
- アスピリン
- H2遮断薬
などがそうです。
抗ガン剤は、ガン細胞の分裂と増殖を阻害し、ガン細胞がこれ以上増えないようにする働きがあります。
ガン細胞というのはひたすら細胞分裂を繰り返し、増殖していきます。
この増殖を止めなければ、体はガン細胞だらけになってしまいます。
増殖を止めるためには、DNAを作らせなければいいのです。
細胞というのはDNAがないと何もできませんから、DNAが作られなければガン細胞もこれ以上増えることはありません。
そのために、葉酸の働きを阻害するのです。
葉酸にはDNAを合成する働きがありますから、葉酸がなければガン細胞も増えていかないということですね。
抗ガン剤の葉酸への相互作用は極端な話ですが、紹介した他の薬も血中の葉酸量が低くなりますから、同時にたくさんの葉酸が必要になるわけです。
このような相互作用は、薬を飲んでその成分を吸収・排出したあとに葉酸を摂れば、ほとんど悪影響はないと言われています。
だいたい4時間後くらいですね。
ただ、薬を飲んでいる以上、葉酸サプリメントを飲むことに関してはきちんと担当医に相談しておかなければなりません。
このように、葉酸には様々な相互作用があります。
特別薬を飲んでおらず、お酒もタバコもしないというのなら、特に心配するような相互作用はないと言えると思います。