葉酸などのビタミンは、体内で作ることはできないと言われていました。そのため、葉酸不足にならないよう食事などからしっかりと補わなければいけないのです。
しかし、実は葉酸は体内で供給することができるということを知っていますか?
葉酸と深い関係があるのは、なんと「腸内細菌」です。ここでは葉酸と腸内細菌の関係について、くわしく見ていきましょう。
ヒトの腸内細菌は約1,000兆個もある
私たちの腸内には、約30,000種、数にしておよそ1,000兆個もの腸内細菌が存在しています。もちろん個人差はありますが、重さにすると1.5kg~2kgにも相当するというから驚きですね。
腸内細菌は花畑のように腸内に広がっていることから、「腸内フローラ」とも呼ばれています。腸内細菌は、ほとんどが酸素があると生存することのできない「嫌気細菌」です。腸管内に常時存在している菌が腸内細菌、いわゆる常在菌です。
腸内細菌は私たちの健康維持に役立つ善玉菌と、害を及ぼす悪玉菌、どちらでもなくどちらにもなりうる日和見菌に分けることができます。健康な人というのは、腸内細菌は善玉菌が優勢になっており、腸内環境は良好だといえます。
腸内細菌や腸内環境は目に見ることはできませんが、健康と深い関係があるんですね。腸内環境が良好な人は、当然腸内細菌も本来の働きをしっかりと行うことができています。
その本来の働きの1つが、ビタミンB群の供給というわけです。腸内細菌が葉酸を作り出し、宿主がそれを吸収して利用していると考えられています。
腸内環境が悪化している人は多い
腸内環境が良好で、腸内細菌が本来の仕事をこなせる状況であれば、葉酸などのビタミンB群は作り出すことができます。
とはいえ、現代人の多くは「腸内細菌が葉酸を作り出せる状態」ではないといいます。
それはなぜなのでしょうか。
実は、腸内細菌というのは非常にデリケートなものでもあるのです。
健康な人の腸内細菌のバランスは
くらいで存在しています。
善玉菌が減り、悪玉菌が増えると日和見菌が悪玉菌になってしまうため、腸内環境は圧倒的に悪玉菌優勢の状態になります。
これは、健康とはかなりかけ離れた状態であると言えます。腸内環境は、便秘やストレスなどによってバランスが崩れやすいのです。現代人の多くはストレスを感じていて、特に女性は便秘の人も多いですよね。
このような便秘やストレスによって腸内環境は悪化し、腸内細菌が葉酸を作り出せなくなっているのです。では、どうすれば腸内細菌は葉酸などのビタミンB群を供給することができるようになるのでしょう。
答えは簡単です。
腸内環境を善玉菌優勢の状態にすればいいのです。
腸内環境を良好にする方法は?
腸内環境や腸内細菌というのは、自分の目で見ることはできません。そのため、「状態を確認するなんてできないでしょ?」と思うかもしれませんね。
しかし、腸内環境を確認する方法はあります。それは、自分の便を観察することです。便は食べたもののうち、栄養素を吸収された不要なものです。腸内を通って体外に排出されていきます。
腸内環境が良好な人の便は、黄色~黄褐色をしていて、ニオイはあっても決してくさくはありません。
そして、形はバナナ状だとベストです。
逆に便の色が黒っぽくて悪臭がする場合は、腸内細菌は悪玉菌が多くなっていると思ってください。この場合は、できるだけ早く腸内環境の改善が必要になります。
ではここで、腸内環境を良好にする方法をご紹介しましょう。
- 乳酸菌を直接摂取する
- オリゴ糖や食物繊維を摂る
- 生活習慣を改善する
主な方法は、この3つです。
ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬け物には乳酸菌やビフィズス菌が含まれています。主に発酵食品ですね。
最近では発酵食品を食べる機会が減り、便秘の人が増えたのもそれが影響しているとも言われています。意識して乳酸菌を摂るようにしてみましょう。
また、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂ることもおすすめです。バナナヨーグルトにオリゴ糖を入れたものを朝食に食べると、より高い効果が得られるでしょう。
そして3つめは、生活習慣の改善です。
睡眠不足やストレス、偏った食事などは、腸内環境にダイレクトに影響しているのです。自分の生活習慣はどうですか?完璧だ!と胸を張って言える人はおそらくほとんどいないでしょう。
できるところなら見直してみてくださいね。
まとめ
腸内細菌が本来の働きをしてくれれば、葉酸不足になることはありません。葉酸は核酸の合成や細胞分裂の促進、赤血球の生成など、私たちが生きるために欠かせない働きをしています。
葉酸不足が気になるからとサプリメントなどで葉酸を摂ろうとする人が多いのですが、腸内環境が良好で腸内細菌がきちんと働いていれば、サプリメントを摂る必要などないのです。
健康のためにも、まずは腸内環境を整えることから始めてみてはいかがでしょうか。