「葉酸」という栄養素がどんなものか、みなさんはご存じでしょうか。
葉酸はビタミンB群の一種で、水溶性のビタミンです。
妊娠中や妊娠を希望している人が積極的に摂っているというイメージがありますよね。
なぜなら、葉酸は赤ちゃんの細胞分裂を促す働きがあるからです。
その中でも、葉酸は核酸の合成に関係しています。
核酸というのはDNAやRNAのことで、遺伝情報などを保存しています。
私たちが生きるため、新しい細胞を作るためにはDNAの合成が欠かせません。
このことから、妊娠中に葉酸が不足すると赤ちゃんの細胞分裂がうまくいかなくなり、神経細胞がきちんと作られなくなることもあるのです。
赤ちゃんの神経閉鎖障害という先天性の障害は、母親が葉酸をしっかり摂っていなかったことが1つの原因だと言われているのです。
もちろん神経閉鎖障害の原因のすべてが「葉酸」というわけではありませんが、少なからず葉酸が関係していることは事実です。
そのため妊娠中に葉酸は欠かせないと言われているんですね。
このことからも、葉酸は妊婦に必要なものだというイメージが植え付けられているのでしょう。
しかし、葉酸は妊婦にだけ必要なわけではありません。
一般の人にも必要なのです。
葉酸は、肝臓で作られる「ホモシステイン」という物質の上昇を抑える働きがあります。
ホモシステインが増えると、動脈硬化になる確率や認知症を患う確率が高まると言われています。
健康を維持するためにも、葉酸不足にならないようにしなければなりません。
葉酸サプリメントは肝臓に負担をかける?
妊娠中の人の多くは、葉酸をサプリメントから摂取しています。
葉酸は食品にも含まれているので、バランスのいい食事をしていれば「一般の成人に必要な1日分の葉酸」を摂ることは可能です。
1日に必要な葉酸量は240μgで、平均摂取量はこれを超えています。
しかし、妊娠中に必要な量480μgを毎日食事から確実に摂るというのは不可能に近いです。
なぜなら、食品に含まれる葉酸は調理の過程で半分が失われ、さらに体内に吸収されるのはその半分になってしまうからです。
そのため、妊娠中は特に「サプリメント」からの葉酸摂取が勧められています。
実は、厚生労働省も妊娠中はサプリメントからの葉酸摂取を推奨しています。
サプリメントに使われている葉酸は、体内に吸収されやすく加工された合成葉酸です。
インターネットなどで調べてみると、「合成葉酸は危険だ」という意見もチラホラ見られます。
厚生労働省も勧めている合成葉酸は、本当に危険なのでしょうか。
合成葉酸は、体内に吸収されやすく作られた「モノグルタミン酸型葉酸」というものです。
ちなみ「食品に含まれる天然の葉酸は「ポリグルタミン酸型葉酸」といいます。
ポリグルタミン酸型葉酸を使っているサプリメントの場合は、1日の摂取量が800μg配合されているものを選ばなければいけません。
実は、このモノグルタミン酸型葉酸は「食品由来のもの」と「化学合成のもの」の2種類があります。
どちらも吸収率については同じですが、当然「化学合成のもの」は内臓に負担をかけることになります。
なぜなら、食品由来ではないため、消化や吸収の際に肝臓などを働かせなければならないからです。
そのため、化学合成の葉酸サプリメントは肝臓に負担をかけてしまいます。
化学合成というのは、石油などの食べられないものから作られた葉酸のことです。
食品由来のものよりコストが安くすむため、サプリメントそのものも安価で販売することができています。
言い換えれば、数百円で買えるような安いサプリメントはほとんどが石油由来の葉酸である、ということです。
内臓の未熟な胎児の場合、大人のように正常な分解はできません。
そのため、喘息やアトピーなどにかかるリスクが高まってしまうそうです。
石油など食品以外のものは、すべて肝臓で分解されています。
葉酸サプリメントが肝臓に負担をかけると言われるのは、このためなんですね。
赤ちゃんのためと思って飲んでいた葉酸が、実は赤ちゃんを苦しめる結果になってしまうかもしれません。
葉酸サプリメントを選ぶときは、天然成分(食品由来)の葉酸を使っているもの、添加物が少ないもの、必要量がしっかりと補えるものを選ぶといいでしょう。
本来サプリメントは健康のために飲むものですから、肝臓など身体に負担をかけないものを選びたいですね。
妊娠中に葉酸サプリメントを飲む場合、1年近くの間飲み続ける必要があります。
そうなると、当然少しでも安いものを選びたくなりますよね。
経済的に負担となるサプリメントでは、続けることはできません。
しかし、ドラッグストアなどで買えるあまりにも安い葉酸サプリメントは危険ですのでやめてください。
安すぎるものには、それなりの理由があります。
自分自身の健康を害するだけでなく、赤ちゃんの健康まで害する恐れがあるのです。
これでは、わざわざ葉酸サプリメントを飲む意味がありませんよね。
サプリメントに使われている葉酸はすべて「合成葉酸」でありますが、そのなかでも野菜や酵母から作られた「天然由来のモノグルタミン酸型葉酸」を使っているサプリメントを選べば、肝臓に負担をかけることはありません。
質のいいサプリメントは、そのことを強みにして売り出しています。
公式ホームページなどでしっかりと確認をしてからサプリメントを購入するようにしてくださいね。