葉酸というビタミンは、私たちの体内でなくてはならないものです。
なんとなく葉酸というと、「胎児の健やかな成長」「胎児の先天性障害リスクの軽減」などの働きから、妊婦に必要なものというイメージがあります。
もちろんこれは間違いではなく、葉酸は妊娠時(特に妊娠初期)にもっとも必要だと言われています。だからといって、妊娠していない一般の人が葉酸を摂らなくていいというわけではありません。
葉酸が明らかに不足する日々が続くと、葉酸欠乏症による様々な症状が現れるようになります。実は、葉酸が体内に足りているのかを知るための1つの方法に、「粘膜」があるというのをご存じでしょうか。
ここでは、葉酸と粘膜の関係について詳しくご紹介していきたいと思います。
粘膜はDNAのバロメーターである
葉酸の働きの1つに、核酸を合成するというのがあります。DNAというのは核酸の1つで、遺伝情報を司る大事なものです。
細胞は、DNAがないと分裂して増えることはできません。葉酸は、体内でアミノ酸と核酸の生成および合成に必要な物質の受け渡しをする、いわば補酵素の役割を担っています。
つまり、体内に葉酸が足りなくなるとDNAの合成がうまく行われなくなり、DNAのミスコピーが増えてしまうのです。
DNAの合成がスムーズに行われなければ、当然様々な健康被害が症状として現れるようになるでしょう。
しかし、体内にどの栄養素がどのくらいあるのかというのは、自分の目で見ることはできますん。不調があって病院でくわしい検査をして、はじめて明らかになるものです。
つまり、数字として分かるときには、すでに葉酸は不足状態であるということでもあります。
そんな目に見えない葉酸の量が足りているかどうかを見極めるときに、粘膜の様子を見てみてください。粘膜は、葉酸不足がもっとも現れやすいと言われているんですよ。
粘膜というのは、鼻、口、耳の中のほか、胃粘膜や腸管粘膜、子宮内膜など様々なところに存在しています。
実は粘膜は、身体の中の多くの細胞の中でも、新陳代謝のサイクルが早いところなのです。新陳代謝というのは細胞の生まれ変わりのことであり、細胞が生まれ変わるためにはDNAの合成というのが必要不可欠になります。
つまり、新陳代謝のサイクルの早い粘膜は、葉酸不足によるDNAのミスコピーによって起こる不調を、いち早く知ることができるということでもあります。
DNA合成をたくさんしなければならない場所であればあるほど、その不調は現れやすくなりますよね。
粘膜といっても、胃や腸管などの内臓は自分で見ることはできませんし、鼻の中や耳の中も見ることは難しいです。
葉酸不足を知るため、もっとも確認しやすいのが口の中です。口の中なら鏡を見ればすぐに分かりますし、食事のときに何かしらの異変に気づくこともできるでしょう。
口内炎や舌の荒れができやすい人は要注意
口内炎や舌が荒れやすいという人もいると思います。口内炎ができると「ビタミン不足だ」とか「不規則な生活をしているからだ」などとよく言われますよね。
確かにこれは正しいのです。
不規則な生活により睡眠時間が足りなかったり、ストレスが溜まっていると、疲れをとるためにビタミンが多く使われていきます。
いつもと同じ量しかビタミンを摂っていないのに、「疲労回復」のためにいつもの倍ビタミンを消費していたとしたらどうですか?
疲労回復以外のところに使われるビタミンの量が少なくなるということです。その結果として、口内炎ができるというのは珍しいことではありません。
もちろん口内炎ができたから、すぐに葉酸不足だ!とはなりません。口内炎は、一過性のもののほうが明らかに多いからです。
ここでいうのは、口内炎がしょっちゅうできる人や、口内炎が一度できるとなかなか治らない人のことをいいます。
口内炎ができる時点でビタミンが足りないことは一目瞭然ですから、普段からビタミンの摂取に心がけてほしいと思います。
いつも口内炎ができていると、「たかが口内炎だし」「いつものことだから」と特別視することもなく、放置してしまう人も多いでしょう。
しかし、その口内炎が葉酸不足によるものだった場合、口内炎以外にも症状が出ていることがあります。
たとえば胃潰瘍などがそうです。
胃の粘膜の荒れを放置したことで、悪化して潰瘍になってしまうのです。さらにそのまま放置して悪化すると、最悪の場合ガンになってしまうこともあるんですよ。
葉酸不足でガンなんて嘘でしょと思うかもしれませんが、本当の話です。普段から口内炎ができやすい、胃痛や胃炎が起こりやすいという人は、一度葉酸不足を疑ってみた方がいいかもしれませんね。
まとめ
このように、粘膜の様子をしっかりと観察すれば、葉酸が足りているかどうかを見極める1つのポイントとすることができます。
普段から野菜をあまり食べない、食生活が偏っているという人は、なおさら注意が必要です。まずは生活習慣を規則正しく改善し、食事からしっかりと葉酸を摂るようにしてみましょう。