妊娠中に避けたいことの1つであるのが、流産や早産です。
流産というのは妊娠22週未満で妊娠が終わってしまうこと、早産は22週~37週未満の赤ちゃんが未熟な状態のまま産まれてしまうことをいいます。
おなかの中でしっかりと育たないまま産まれてしまうと、赤ちゃんは病気や障害を患う可能性が高くなります。
本来ならばおなかの中にいる時期に外の世界に出てきてしまうわけですから、成長は当然不十分です。
妊娠週数が早ければ早いほど、健康な状態である確率は低くなってしまいます。
親であるなら、誰でも「健康な状態で産まれてほしい」と思いますよね。
早産を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。
早産・切迫早産とは
早産については先ほど説明したとおりです。
22週から37週未満で、なおかつ赤ちゃんが未熟な状態のまま産まれてしまうことをいいます。
では、切迫早産とはどのようなことをいうのでしょうか。
簡単にいうと、切迫早産というのは「早産になる一歩手前」の状態をいいます。
- 頻繁におなかが張る
- 子宮口が開いてくる
- 赤ちゃんが下がってくる
などの症状が見られたら、切迫早産を疑いましょう。
破水や出血があって病院へ行くと、十中八九「切迫早産です」と診断されると思います。
切迫早産の治療は、軽いうちなら投薬(張り止め)になりますが、症状が悪化すると入院して点滴を打つことになります。
切迫早産を悪化させないためには、安静にすることがなりよりです。
できることなら、「切迫早産」にはなりたくないというのが本音です。
切迫早産は体質など個人の努力ではどうすることもできない部分もありますが、防ぐことも可能です。
実は、妊娠初期に欠かせないと言われている葉酸が、早産を防ぐためにも重要だと言われているのです。
葉酸で早産を防げる理由
葉酸は、赤ちゃんの先天性の障害リスクを低下させることができるとして、妊活中からの摂取が望ましいとされています。
一般の人の1日あたりの葉酸摂取の推奨量は、240μgです。
それに加え、妊活中や妊娠中はプラス400μgの葉酸摂取が推奨されています。
食事から葉酸は摂ることができますが、水溶性のビタミンであるため調理の過程で大部分が失われてしまいますし、体内での吸収率も低いのです。
葉酸の摂取目安量は一般の人で240μg、妊娠中はプラス400μgと言われていますが、これを食品に含まれる天然の葉酸から摂ろうと思ったら、この数字の2倍の量を摂らなければなりません。
厚生労働省が定めている数字は、吸収率の高いモノグルタミン酸型葉酸であるからです。
天然のポリグルタミン酸型葉酸は吸収率が低く、食品のみで葉酸のすべてを補うことは難しいでしょう。
葉酸は、妊娠初期なら赤ちゃんの先天性の障害リスクを下げる働きがあります。
先天性の障害を持った赤ちゃんは成長することができず、流産してしまう確率が高くなります。
流産を防ぐためにも、葉酸は欠かせない成分です。
葉酸は、そのほかにも
- 子宮の内壁を強化する
- 高血圧を防ぐ
- 自律神経のバランスを整える
働きがあります。
これらの働きが、切迫早産を防ぐことにつながるのです。
葉酸には血中のホモシステインの上昇を防ぐ働きがあり、血管の状態を良くすることができます。
また、切迫早産の症状の1つである「子宮の収縮」は、ストレスが原因でもあります。
葉酸にはストレスを緩和したり、セロトニンの分泌を促して自律神経の乱れを改善する働きもあるのです。
これらの働きによって、切迫早産を防ぐことができるというわけです。
アメリカの研究では、妊娠の1年前から葉酸を十分に摂取していた人は、28週未満での早産の確率が70%減、32週未満での早産確率も50%減らせたというデータがあります。
ここまで早産のリスクを減らせるなんてすごいですね。
なんとなく葉酸は妊娠前から妊娠初期に摂るものというイメージがありますが、摂る目的が変わるだけで、葉酸が必要なことに変わりはないのです。
葉酸には造血作用もあり、赤ちゃんに栄養を届けるという働きもあります。
妊娠中は積極的に葉酸を摂ることをおすすめします。
早産を予防するためには、葉酸を摂ることもおすすめですが、普段の食事で塩分を控えることも大切です。
加工食品やジャンクフードによって、塩分を摂りすぎている人が増えています。
まずは塩分を控えることから始め、妊娠向けの葉酸サプリメントで葉酸を補い、早産を予防していきましょう。
早産で産まれてしまった赤ちゃんは、弱視や難聴などの障害を持ってしまう確率が高くなります。
あまりにも未熟な状態だと、自発呼吸ができないこともあります。
保育器のなかで多くの管につながれている我が子の姿を見るのは、とても辛いものです。
そうなれば、母親は当然「ちゃんと育ててあげられなくてごめんね」と自分を恨むでしょう。
確かに早産には、自分の努力では防げないものもあります。
しかし、防げることもあるのです。
出産で後悔や悲しい思いをしないためにも、今できることから始めていきましょう。