葉酸のよくある質問

妊娠すると「葉酸サプリ」を飲むことが勧められます。2002年頃から、母子手帳にも妊娠中の葉酸の必要性についての記載が加わりましたね。

妊娠中に葉酸が必要なのは、赤ちゃんの先天性障害のリスクを減らすためです。

胎児の頃は、一生のうちでもっとも細胞分裂が盛んに行われる時期でもあります。細胞分裂を正常に行うためには葉酸が必要不可欠であり、葉酸が足りないと赤ちゃんが神経管閉鎖障害などの障害や奇形を患うリスクが高まってしまうのです。

このことから葉酸が必要だと言われてきましたが、果たしてみなさんは「葉酸」がどんなものだか知っていますか？葉酸の必要性については知っていても、葉酸がどんなものなのかは知らないという人もいるでしょう。

ここでは、改めて葉酸の基本情報についてご紹介していきます。今さら聞けない…という人も必見ですよ。

葉酸の融点や化学式は？

葉酸の融点は250℃です。融点とは何だか知っていますか？

中学生の頃、理科の授業で習っているはずですが、忘れてしまったという人もいるでしょう。

融点というのは、固体が加熱によって融解し、液体になる時の温度のことをいいます。水だと、0℃が融点ですね。

葉酸が加熱によって液体になるのは、250℃ということになります。ちなみに葉酸の化学式は「C19H19N7O6」です。

葉酸は食品、主に緑黄色野菜や海藻、酵母、動物の肝臓などに豊富に含まれていますが、体内に取り込まれた葉酸はそのままでは活用されません。

葉酸は、還元作用によってジヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸→5.10-メチレンテトラヒドロ葉酸→5-メチルテトラヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸へと形を変えていきます。

テトラヒドロ葉酸の状態になって初めて、体内で様々な働きをすることができるのです。言い換えれば、葉酸は「テトラヒドロ葉酸」にならなければ体内で使うことはできない、ということ。

私たちの体の中では、常に還元作用が行われているのです。

テトラヒドロ葉酸となり、主な働きとしては

などの経路に関わっています。葉酸が不足すると、様々な不調が訪れることでしょう。

葉酸は水溶性のビタミンである

ビタミンには、水溶性と脂溶性の2種類があります。水溶性ビタミンは熱に弱く、水に溶け出すという特性が、脂溶性ビタミンは熱に強く、水に溶けないという特性を持っています。

葉酸はビタミンB群の一種ですので、水溶性ビタミンに分類されているのです。

葉酸は緑黄色野菜や海藻、酵母、動物の肝臓などに豊富に含まれているという話をしましたが、十分な量を摂取することは難しいと言わざるをえません。それは、葉酸が水溶性のビタミンだからです。

野菜を洗うこと、加熱調理をすることで葉酸は大半が失われてしまうと言われているんですよ。ずば抜けて豊富な葉酸を含むレバーであっても、生で食べることはできません。必ず火を加えますよね？

葉酸を食品から摂ることはどうしても難しいため、妊娠中など確実に葉酸が必要な時期には葉酸サプリでの摂取が望ましいとされているのです。

食品から葉酸を摂るときは、できるだけ生のまま食べられる果物やサラダ、またはタジン鍋などを用いて水を使わない加熱方法をとると良いでしょう。

このような調理方法をすることで、少しでも多くの葉酸を摂取することができますよ。

葉酸の体内での還元作用を阻害する薬もある？

先ほど、葉酸は体内で還元作用によって最終的にテトラヒドロ葉酸になる、という話をしました。ここまでの過程では、葉酸による炭素の受け渡しなどが行われているのですが、この一連の流れ、葉酸の還元作用を阻害する薬もあります。

たとえば抗がん剤などがそうです。抗がん剤は、恐ろしいスピードで増殖していくガン細胞の増殖を防ぐため、葉酸の還元作用を阻害します。

テトラヒドロ葉酸にならなければ、ガン細胞を含むすべての細胞のDNAを作ることができないため、細胞分裂をすることができなくなるのです。

細胞分裂は胎児の頃にだけ行われると思っている人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。大人になった今でも、細胞分裂は行われているのです。

そのスピードが違うというだけなんですよ。テトラヒドロ葉酸が体内になくなれば、当然「葉酸の働き」も行えなくなりますよね。

葉酸はDNAの合成やホモシステインの代謝、赤血球の生成など、多くの働きを担っているビタミンです。葉酸の不足は、私たちの体に多くの不調をもたらすことでしょう。

まとめ

葉酸について、改めて基本的な情報をまとめてみました。もしかしたら、葉酸がビタミンの一種だということすら知らなかった人もいるかもしれませんね。

葉酸の働きや基本的な情報をしっかりと理解しておけば、妊娠中に「なぜ葉酸が必要なのか」「どんなふうに食べれば葉酸が効率的に摂れるのか」などもわかるようになりますよね。

今まで以上に、食べるものに対して意識をもってもらえるのではないでしょうか。葉酸について理解し、改めて葉酸について頭に入れてみてくださいね。下の記事でもよくある質問などをまとめましたので、参考にしてみてください。