世界には様々な病気があり、様々な検査があります。何かしらの身体の不調がおとずれたとき、おそらくみなさんは病院へ行きますよね。
内診でめぼしい病気が見つからなかったとき、または症状が著しく悪化しているときには、これ以上状態を悪化させないために、適切な検査を行うでしょう。
検査は、病名を突き止めるためには必要不可欠なものだと言えます。私たちの身近な検査には
- 尿検査
- 血液検査
- レントゲン
などがあります。何かしらの検査は、みなさんも行ったことがありますよね?
さて、多くの検査や珍しい検査になればなるほど、私たちが支払う医療費というのも高くなることが普通です。
とはいっても、私たちはそれぞれ健康保険に加入しているのが一般的ですから、医療費の支払いはそこまで高額になることはありません。
窓口で健康保険証を見せることによって、たいていの医療費は3割の負担ですんでいます。
では、自分が支払わなかった残りの医療費、7割に相当する金額は誰が払っているのでしょうか。
当然、医療機関が払っているわけではありません。そんなことをしていたら、全国のすべての医療機関は赤字でつぶれてしまいます。残りの医療費を医療機関側へ支払っているのは、保険会社ですね。
健康保険証を発行しているところ、と覚えておいていただければいいでしょう。国民保険に加入している人の場合は、国が支払っているということになります。
医療機関が医療費をもらうためにはレセプトが必要
「レセプト」という言葉を聞いたことがありますか?
医療事務に興味がある、または医療事務として働いているという人なら知っているでしょう。レセプトというのは、「診療報酬明細書」のことです。
[blogcard url="http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1346763133"]レセプトとは医療機関から受け取った領収書とは違うのでしょうか?[/blogcard]
簡単にいうと、「医療機関が健康保険組合に提出する医療費の明細」というものですね。
よく間違えるのが診療してお会計時にもらう医療明細書とは違うので、混同しないように気を付けたいですね。こちらは患者さんに発行するものです。レセプトは保険会社に提出するものですね。
自宅あてにまとまって診療を受けた病院などが掲載してあるハガキが届くと思います。
レセプト作成は患者が受診するたびに行われるわけではありません。月末にまとめて作成し、請求しています。医療事務の仕事は月末が大忙しだと言われるのは、このためなんですね。
レセプト作成と提出をしっかり行わないと、その患者さんにかかった医療費の7割分が払ってもらえないということになるわけです。
これでは医療機関もやっていけませんから、レセプト作成は確実に、かつ正確に行わなければなりません。
さて、そんなレセプト作成ですが、査定機関というのがあります。査定機関での審査をパスしないと、保険会社から医療費が支払われないイメージですね。
お金のからむことですから、査定機関での審査は当然厳しいものになります。
鉄欠乏性貧血だけでは葉酸の数値は調べられない
核酸の合成や細胞分裂の促進、赤血球の生成に必要不可欠なビタミン、葉酸は食品から摂取することができますが
食事が明らかに偏っている人
アルコール依存症の人
妊娠中の人
などは、葉酸が不足しやすいと言われています。葉酸には赤血球の生成という働きがあるため、不足すると「貧血」の症状が出ることがあります。
たとえば、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、倦怠感などが貧血の症状として知られていますね。
このような症状がある場合、貧血を調べるためには血液検査を行うことが一般的です。患者さん側からすれば「血液検査」であり、「血を抜く」ことでしかありません。
しかし、検査項目というのは違います。どんな病気が疑われるのか、どんな症状があるのかによって、何の値を調べるのかは変わるのです。
この半年間37,1~37,9の熱がほぼ毎日続いていて(平熱35,2)、
12月半ばの血液検査結果が返ってきて見たんだけどCRPが全く上昇してない…やはり風邪ではない。甲状腺の数値も回復してたし…あー!検査お願いしたのに…葉酸の数値が測られてない。軽い貧血は起きている。 pic.twitter.com/ZwNAYDOTHW
— ぐれいす@肢端紅痛症を広め隊 (@megrace_) January 16, 2017
貧血の場合、圧倒的に多いのは鉄欠乏性貧血でしょう。鉄欠乏性貧血の疑いの場合は、血液内の鉄の値(赤血球数やヘモグロビン値)を調べることになります。
この時点で、葉酸の値を調べるようなことは、基本的にはしません。もしも鉄欠乏性貧血の疑いだけで葉酸の値までを調べてしまうと、「過剰検査」として、レセプトの査定対象となってしまうのです。
レセプトの作成には「なぜこの検査をしたのか」「なぜこの検査が必要だったのか」を明確にしなければならない決まりがあります。
こうしないと、本当は行っていない検査を記載し、その分の医療費を横領するということにもなりかねないからです。
余計な疑いをかけられないためにも、レセプトには「疑いのある病名」を記載することがルールとなっています。
葉酸の数値を検査をするのは葉酸欠乏症が疑われる場合のみ
一般的な貧血の所見で、葉酸数値の検査までは行いません。葉酸数値の検査を行うのは、葉酸欠乏症の疑いがある場合です。
たとえば先ほどお話しした「葉酸不足になりやすい人」や、血液内に巨赤芽球が認められた場合などが該当します。
葉酸が不足すると、正常な赤血球が作られなくなり、赤血球のなりそこないである「巨赤芽球」が増えてくるのです。
こうなると鉄欠乏性貧血ではなく、葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血の疑いが強くなるわけです。
このような段階を経て、初めて葉酸の値を調べる検査は行われているんですよ。
葉酸測定のもっともメジャーな方法は、CLIA法と呼ばれるものです。正常値は2.4~9.8ng/ml。
数値が高い場合は葉酸剤の投与(サプリメント含む)によるものが、低い場合には葉酸欠乏症という診断がくだされることでしょう。
原因を知ることは、今現れている体調不良を根本的に治療するためには欠かせません。原因と異なる治療をしても、完治に至ることはないからです。
私たちは医師の診断、そして判断の元で様々な検査を行っています。必要のない検査をしないためにも、ある程度の知識を持っておいても損はないかもしれませんね。
まとめ
過剰診察で査定をされないためにも、必要以上の検査をしてはいけません。レセプトが通らなければ、医療費を支払ってもらえないからです。
葉酸数値の検査というのは、すぐに行うものではありません。何らかの過程を経てから行うことが一般的です。