葉酸不足が招く葉酸欠乏症の症状
葉酸というのは、ビタミンB群のひとつです。水溶性ビタミンであり、食事から摂取することが可能です。
しかし、食事の偏りなどによって葉酸が不足することもあり得ます。
普通に食事を摂っていれば葉酸が摂れないということはないのですが、やはり食生活が乱れている人は葉酸などのビタミンは不足しがちになってしまいます。
では、葉酸が不足するとどのような症状がおこるのでしょうか。葉酸の欠乏が招く様々な症状についてまとめてみたいと思います。
巨赤芽球性貧血
葉酸が欠乏して起こる症状のひとつに、悪性貧血があります。
一般的な貧血は鉄欠乏性によるものですが、悪性貧血は葉酸不足によって赤血球そのものが作られなくなってしまう病気です。
これを、「巨赤芽球性貧血」といいます。
骨髄のなかで赤血球が大きくなってしまい、それに伴って白血球・赤血球・血小板のすべてが減少してしまうのです。
汎血球が減少することにより、貧血を発症するのです。
葉酸が欠乏すると白髪が増える?
葉酸欠乏の症状には巨赤芽球性貧血という悪性貧血があると言いましたが、普段から貧血気味な人などはすぐに気がつくことはできないかもしれません。
「最近仕事が忙しいから」「寝不足だから」とは思うものの、最初から「悪性貧血」を疑う人などほとんどいないと思います。
そこで1つの目安となるのが、髪の毛です。若い人なら、髪の毛は黒いことがほとんどです。
しかし、葉酸とビタミンB12が不足すると、髪の毛を黒くする「チロシン」という成分が作られなくなってしまいます。
黒くならないわけですから、当然髪の毛は白髪になります。
ただ、白髪というのは遺伝的な要素(若白髪)や喫煙、紫外線、ストレスなどの生活習慣が原因であることも多いです。
年齢が上の人なら、元から白髪も多いでしょうから、やはり「白髪=葉酸欠乏」とは結び付かないかもしれませんね。
しかし、たとえば最近白髪が増えたなぁと感じていて、なおかつ立ちくらみや息切れ、疲れやすいなどの貧血症状が出たとします。
この場合は、自己判断で解決せず、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。葉酸欠乏による症状である可能性が高いです。
医療機関では、血液検査をすることですぐに葉酸欠乏かどうかは分かります。どんな症状なのかによって、治療方法は変わってくるはずです。
おかしいなと思ったら、ためらわずに医療機関へ行ってみてください。
認知症を発症しやすくなる?!
高齢者の多くが発症する認知症は、実は葉酸の不足が原因になると言われています。
認知症のすべてが葉酸不足が原因というわけではありませんが、葉酸やビタミンB12を十分に摂取している人より、不足している人の方が認知症を発症しやすくなるのは確かです。
それはなぜなのでしょうか。認知症というのは、脳の神経細胞が健康なまま維持できないこと、そしてホモシステイン値が上昇してしまうことが原因で発症します。
葉酸は細胞分裂を促す働きがありますから、葉酸が不足すると脳細胞が作れなくなってしまうのです。
また、葉酸には血中のホモシステイン値の上昇を防ぐ働きもありますので、葉酸が足りないと認知症になる確率が高くなるのは明らかですよね。
現在日本は高齢化社会で、高齢者の人口はどんどん増えると言われています。今はあなたのご両親も元気でいても、いつ何が起こるかは分かりません。
認知症は、一度発症してしまうと治ることはありません。
今までの思い出はもちろん、最後には自分が誰なのかも分からなくなってしまいます。
そんな辛い認知症のリスクを少しでも軽減させるためにも、葉酸不足にならないようにしていきたいものですね。
ビタミンB12が不足すると末梢神経障害の恐れも
葉酸欠乏による悪性貧血や認知症、白髪などの症状が発生するリスクをお話しました。
これらはどれも葉酸だけでなくビタミンB12も不足しています。
実は、ビタミンB12が不足すると、神経障害、特に末梢神経障害が起こります。手足のしびれなどが症状として現れます。
葉酸が不足しているだけだと、このような末梢神経障害は起こりませんが、どちらにせよ、葉酸不足は急に始まるものではありません。徐々に進行していくものです。
日頃から食事内容に気を付けるなど、葉酸欠乏にならないように気を付けていきましょう。
仕事柄外食ばかり、きちんと食事の時間が摂れないというような人は、葉酸をサプリメントから補ってみるのもいいですよ。葉酸だけのサプリメントなら比較的安価ですから、続けやすいと思います。
葉酸欠乏症は、一度なってしまうと改善するのはとても大変です。悪性貧血などは、普通の食生活の改善では改善することがあまり見込めません。
放っておくと命に関わるようなものもあるため、やはり日頃から意識して葉酸を摂ることが大切なのだと言えます。
特に妊娠中の人が葉酸欠乏症になると、胎児にも悪影響を与えてしまいます。
葉酸は妊婦の栄養素というイメージも強いですが、決して妊娠中の人のためのものではないのです。
どんな人も、葉酸は必要な栄養素なのだと覚えておいてくださいね。