「葉酸」という栄養素を知っていますか?
ここ数年で葉酸の必要性は随分と高まったように感じます。
なぜなら、2002年頃から厚生労働省が妊婦の葉酸の必要性に関して母子手帳に記載するよう通達したからです。
妊娠中、胎児の「神経管閉鎖障害」という先天性の障害リスクを軽減したり、奇形リスクを軽減するために葉酸が必要なのです。
そのため、妊娠を計画している人や妊娠の可能性がある人は、「400μgのモノグルタミン酸型葉酸」を摂ることが推奨されています。
そんな葉酸は、妊娠中の人だけが摂ればいいものではありません。
一般の人も、貧血の予防などのために葉酸が必要です。
葉酸には様々な健康効果があることが知られていますから、妊娠の有無に関わらず、積極的に葉酸は摂るべきだと言われています。
食品で葉酸を摂取する一番の方法は生のまま
葉酸は、ビタミンB群の一種であり、水溶性ビタミンです。
水溶性ビタミンというのは水に溶けやすく、熱に弱いという特徴があります。
葉酸の他には、ビタミンCも水溶性のビタミンです。
水溶性ビタミンは、その特徴から「調理の過程で失われやすい」ものでもあります。
水で洗ったり熱を加えることによって失われてしまいますから、口に入れるまでに大半がなくなってしまうのです。
葉酸が豊富に含まれる食品の1つ、ホウレン草を例にしてみましょう。
葉酸はホウレン草の葉から発見されたということもあり、ホウレン草は葉酸を豊富に含んでいます。
だいたい、ホウレン草100gあたり210μgの葉酸を含んでいるんですよ。
成人男女の1日あたりの葉酸摂取推奨量が240μgですから、ホウレン草がいかに葉酸を多く含んでいるかが分かるでしょう。
しかし、ホウレン草を食べるためには茹でて水にさらしますよね。
お浸しにする場合、茹でて水にさらすことで、ホウレン草の葉酸は半分は失われています。
さらに食品の葉酸は体内での吸収率が低いため、実際に体内で利用できるのはその半分です。
210μgの葉酸を含む100gのホウレン草も、お浸しで食べたときには50μgほどしか吸収されていないのです。
そんな葉酸を効率的に食品から摂るには、どうしたらいいのでしょうか。
一番は、生のまま食べられる果物などから摂ることです。
熱も水も使わなければ、食品に含まれる葉酸をそのまま摂ることができます。
体内での吸収率の低さは仕方がありませんから、できるだけ「葉酸含有量の高いまま食べる」ことを考えましょう。
ホウレン草など生で食べることが難しい野菜は、タジン鍋などを使ってスープにすることをおすすめします。
タジン鍋は数年前から非常に人気のある調理器具で、水を使わずに野菜やお肉を調理することができます。
素材の持つ水分だけで調理することができますので、ホウレン草の葉酸も失われることがありません。
そして、スープなら汁まで飲みますから、汁に溶け出た葉酸もしっかりと摂ることができますね。
タジン鍋なら水分が外に漏れませんから、葉酸も失われずにすみますよ。
ホウレン草を使ったおすすめスープレシピ
ではここで、ホウレン草を使ったスープレシピを1つ、ご紹介したいと思います。
あまり深く考えず、家にある野菜などで作ってしまっても全然OKですよ。
- ホウレン草
- ブロッコリー
- ニンジン、ジャガイモなど好きな野菜
- しらす
- ベーコンやウインナー
- コンソメスープの素
基本の材料はこれだけです。
ホウレン草は3cmくらいのザク切りにし、その他の野菜は食べやすい大きさに切ります。
ベーコンやウインナーも、食べやすい大きさに切りましょう。
これらをすべてタジン鍋に入れ、コンソメスープの素を入れて火にかけます。
火が通ったら軽くかきまぜ、しらすを振ったら完成です。
しらすはなくても美味しいスープになるのですが、しらすを入れることでカルシウムを摂ることができます。
実は、ホウレン草の「あく」にはシュウ酸という物質が含まれており、このシュウ酸は尿路結石の原因になると言われているのです。
ゆでたホウレン草を水にさらすことでシュウ酸を落とすことができるのですが、「葉酸を摂る」ことを第一に考えた場合、水にさらすことはふさわしくありません。
水にさらすだけでも葉酸は失われてしまうからです。
シュウ酸は、体内のカルシウム(唾液などに含まれる)と結合することでシュウ酸カルシウムの結晶になります。
これが尿路結石の原因となるのですが、カルシウムと一緒に摂ることで、シュウ酸カルシウムになるのを防ぐことができるのです。
いくら葉酸をしっかりと摂りたいからといって、他の病気になってしまったのでは元も子もありません。
ですから、ホウレン草のスープを作るときには、カルシウムも一緒に摂ることを考えてください。
そうすることでホウレン草の葉酸はしっかり摂ることができますし、尿路結石のリスクも減らすことができますよ。
また、葉酸は光にさらすと失われやすいとも言われています。
ホウレン草を購入したら、冷蔵庫で保管しておきましょう。