葉酸には、様々な健康効果があることが分かっています。葉酸というと、妊娠中の胎児への働きというのが一番最初に頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
しかし、葉酸の効果や働きというのは、妊娠中にだけ起こるものではありません。一般の人にも、重要な働きを担っているのです。
その健康効果の1つが、脳細胞や脳機能に関係するものです。ここでは、脳と葉酸の関係について説明していきます。
脳卒中とは脳血管障害のこと
脳卒中という言葉は日本では広く知られていますが、実は脳卒中という病気はありません。脳卒中とは、脳血管障害のことをいう言葉です。
脳血管障害の種類
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
この3つの脳の病気なら、みなさんも聞いたことがあるでしょう。どれも最悪の場合は死に至ることもある、怖い病気です。
これらの脳血管障害、いわゆる脳卒中の予防に葉酸が効果的だということはご存じでしょうか。
それは主に、葉酸が血液中のホモシステインを代謝することができるからです。
ホモシステインとは、体内でアミノ酸を代謝するときに発生する物質のことです。このホモシステインの血中濃度が上昇すると、動脈硬化のリスクが高まることが分かっています。
動脈硬化になると血管がもろくなり、血管に弾力もなくなるため、脳梗塞になるリスクは一気に高まってしまいます。
このことから、動脈硬化を予防することが脳梗塞(脳卒中)を防ぐことにつながる、ということが分かるでしょう。
ホモシステインは生活習慣でも上昇することがありますが、加齢とともに上昇することも分かっています。
特に女性は、閉経するまでは女性ホルモンの働きによってホモシステインの上昇を抑えています。
しかし、閉経すると女性ホルモンの分泌量が減り、それに伴ってホモシステインの値も上昇しやすくなります。50歳以上の女性に脳卒中患者が多いのは、そのためです。
先ほどお話ししたような脳卒中の症状は、高血圧の人が圧倒的になりやすいものです。脳卒中による死者も多いことから、国民病の1つとも言われています。
ホモシステイン値を下げれば脳卒中を100%防げるというわけではありませんが、ホモシステイン値の高い人が脳卒中を発症しやすいのは事実です。
葉酸を摂ることでホモシステイン値を正常にまで下げることができれば、脳卒中のリスクを下げられることは確かでしょう。
加齢によって発症するリスクは高まるので、中高年の人には積極的に葉酸を摂ってほしいと思います。
葉酸は認知症の予防や脳機能の向上効果もある
すべての認知症ではありませんが、認知症は「脳の神経細胞を健康なまま維持できなくなること」「ホモシステイン値が上昇すること」が原因の1つであると考えられています。
葉酸のホモシステイン値を下げる働きについては先ほど説明したとおりですが、脳の神経細胞についてはどうでしょうか。
葉酸は、DNAを合成して細胞分裂を促すという働きを持っています。これは、脳の神経細胞に関しても同じです。
葉酸が不足するとDNAがしっかりと合成できなくなり、DNAのミスコピーが増えてしまいます。これでは健康な脳細胞を作ることはできません。
葉酸を摂ることでDNA合成や細胞分裂を促すことができれば、脳の神経細胞も健康なまま維持することができるでしょう。
高齢者にとっては「認知症を予防する」ことになりますが、高齢者以外の人には「記憶力の向上」などの効果をもたらします。
葉酸はサプリメントから摂るのがおすすめ
脳卒中の予防や認知症の予防などのために葉酸を摂ろうという人は、食事の改善ももちろんですがサプリメントから葉酸を摂ることがおすすめです。
なぜなら、サプリメントなら確実に葉酸を摂ることができるからです。食品に含まれる葉酸は吸収率が低いため、確実に葉酸を摂るのは難しいと言わざるを得ないのです。
その点、サプリメントなら吸収されやすい形にあらかじめ加工してあるので、必要な量をしっかりと摂ることができるのです。
サプリメントの葉酸、モノグルタミン酸型葉酸は、1日あたりの上限というのが決まっています。葉酸の過剰摂取による症状が出るのはかなり稀ですが、上限は必ず守るようにしましょう。
高齢者が認知症の予防のために葉酸を飲む場合、1日あたり800μgが推奨されています。
自分にとって飲みやすい葉酸サプリを選び、毎日続けることが大切です。葉酸は体内に蓄積しておくことはできないので、面倒でも毎日摂り続ける必要があるのです。
まとめ
葉酸サプリは、妊婦以外の多くの人にも素晴らしい効果や働きがあることが分かりました。脳卒中や認知症などの予防にも効果的だなんて、なんだか驚きですよね。
脳細胞を新しいものに生まれ変わらせるためには、葉酸が必要不可欠なのです。健康に長生きするためにも、積極的に葉酸を摂っていきましょう。
葉酸はレバーや緑黄色野菜などに豊富に含まれていますよ。食生活を筆頭に、生活習慣を改善することも、健康のためには重要なポイントですよ。