葉酸は、ビタミンB群の一種です。
ビタミンMやビタミンB9とも呼ばれており、ビタミンB12とともに赤血球を作る働きから、造血ビタミンとも呼ばれています。
様々な呼び名を持っているんですね。
そんな葉酸ですが、ここでは、葉酸と小児の関係についてお話ししたいと思います。
葉酸というと、どうしても妊娠中の人が摂るというイメージがありますよね。
そのため、妊娠と無縁の小児と葉酸の関係は、すぐには結び付かないところがあります。
しかし、小児こそ葉酸をしっかりと摂らなければならないのです。
その理由を、今から説明していきましょう。
葉酸の摂取量や必要性について
葉酸は妊娠中に必要なものというイメージがありますが、妊娠していない人にも欠かせないものです。
それこそ、小児にも必要不可欠な栄養素なんですよ。
特に小児というのは、これからどんどん成長していく時期です。
大人はもう「成長する」ことはありませんが、小児はこれから身長も伸びますし、臓器も強く成長していきます。
この「成長する」ことに欠かせないのが葉酸です。
葉酸は核酸(DNA)を合成し、タンパク質の合成を促す栄養素です。
私たちの体は、すべて細胞から作られています。
膨大な数の細胞が集まって、組織を形成しているわけです。
成長するためには、細胞が分裂をして増殖していかなければなりません。
細胞分裂のためにはDNAが必要ですから、葉酸が必要だということが分かりますよね。
妊娠中の人が胎児の成長のために葉酸を摂るのと同じで、小児も成長のために葉酸を摂らなければなりません。
また、葉酸は脳の神経機能をサポートする働きもあります。
記憶力の向上や集中力の上昇など、葉酸をしっかり摂っている子どもは、そうでない子と比べると「頭がいい」という研究データもあるそうです。
たかが葉酸だと思いがちですが、葉酸が脳細胞の発達にも関わっているということなのでしょう。
脳細胞は次から次へと新しいものが作られていくわけですが、この「新しいものを作る」ときに葉酸が必要なわけです。
葉酸は、主にレバーや緑黄色野菜などに含まれています。
バランスの良い食生活をしていれば、小児で葉酸が足りなくなることはほとんどありません。
しかし、最近では野菜嫌いの子も増えていますし、偏食の子も多いです。
小学生くらいになると「肥満」か「やせ」のどちらかに入る子が一気に増え、「標準」の子の人数は年々減っているそうです。
小児糖尿病など、小児の生活習慣病も問題となっていますよね。
そのため、小児の葉酸不足は年々増加しているといっていいと思います。
小児1日あたりの葉酸推奨量と耐容上限量
ではここで、1歳から14歳までの小児の、1日あたりの葉酸推奨量と耐容上限量をご紹介します。
推奨量→耐容上限量の順で、単位はμgです。
- 1~2歳→90→200
- 3~5歳→100→300
- 6~7歳→130→400
- 8~9歳→150→500
- 10~11歳→180→700
- 12~14歳→230→900
だいたい中学生くらいになると、大人とほぼ同じ量の葉酸が必要だということになりますね。
耐容上限量というのは、これ以上摂ると過剰摂取の危険があるという数字です。
食べ物からしか葉酸を摂っていない人は、そこまで気にする必要はありません。
耐容上限量はサプリメントなどの合成葉酸についての数字になります。
さて、葉酸について「μg」という単位がでてきました。
これはマイクログラムと読みます。
1mgの1,000分の1が、1μgです。
たとえば先ほどの葉酸量で見ますと、12歳の小児に必要な葉酸量は230μg(0.23mg)であり、耐容上限量は900μg(0.9mg)ということになります。
葉酸が正常値よりも低かったら?
たとえば貧血の症状(動悸や息切れなど)があって医療機関へ行くと、血液検査を行います。
血液検査ではヘモグロビンの値などを調べます。
症状にもよりますが、まずは一般的な貧血である「鉄欠乏性貧血」を疑われるからです。
葉酸欠乏でも貧血になりますが、この場合の貧血は鉄欠乏性貧血ではなく、巨赤芽球性貧血と呼ばれます。
葉酸が足りずに赤血球が作られず、赤血球のなりそこないばかりが増えてしまうために起こる貧血です。
同じ症状はビタミンB12が欠乏したときにも起こるのですが、ビタミンB12欠乏は高齢者に多く、小児ではほとんどみられません。
葉酸欠乏は先天性のものもあるのですが、食事の偏りなど生活習慣が原因でも起こる可能性があります。
小児で葉酸が足りなくなると、成長や発達が遅れる可能性もあります。
小児に必要な葉酸量は、食事を意識すれば補えるくらいの量です。
しかし子どもの好き嫌いや親の忙しさなどによっては、毎日葉酸を意識して食事の支度をするのは難しいかもしれません。
そんなときは、小児用の葉酸サプリメントを利用してみるのもいいと思います。
大人用のサプリメントや妊婦向けのものは、子どもにはふさわしくない成分が入っているものもありますので、必ず子ども用のサプリメントを選んであげてください。